閉塞性肺疾患に関連する臨床研究(国内)

グラクソ・スミスクライン株式会社では、いまだ明らかにされていない閉塞性肺疾患の疾患特性を評価する総合的な研究を国内で行っております。
研究の一覧を下記に示します1-6)

TRAIT Study AERIS-J Study Cognitive Study OCEAN Study Telemedicine Study
  • 医薬品情報データベース[JapicCTI-194844]
  • 社内資料:TRAIT Study, protocol
  • 医薬品情報データベース[JapicCTI-194704]
  • 社内資料:OCEAN Study, Study Report
  • 医薬品情報データベース[JapicCTI-194593]
  • 医薬品情報データベース[JapicCTI-194916]

TRAIT Study

試験の詳細はこちらをご覧ください。

AERIS-J Study

AERIS-J Study(Acute Exacerbation and Respiratory InfectionS in COPD-Japan Study)

背景

COPD※1は、気流閉塞、慢性咳嗽、喀痰産生、呼吸困難、喘鳴などの呼吸器症状を特徴とする進行性疾患である。海外の研究において、COPD急性増悪は細菌性、ウイルス性、好酸球性、pauci-inflammatory性の臨床エンドタイプに分類可能であり、それらが特定の喀痰や血液バイオマーカーの変化と関連することが示されているが1-3)、日本ではCOPD患者の肺のマイクロバイオームに関する前向き試験はほとんど行われていない。

  • ※1COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease、慢性閉塞性肺疾患

目的

本研究の元来の目的は、日本人におけるCOPD急性増悪の病因を評価することである。これは、安定期のCOPDおよびCOPD急性増悪時における細菌性、ウイルス性、好酸球性、pauci-inflammatory性の増悪を発現した患者の割合を推定し、潜在的なウイルス性病原体および細菌性病原体の有無を含む肺のマイクロバイオームを比較することにより、COPDに対する患者個人レベルでの最適な医療アプローチをサポートするものである。
2020年初頭より世界的にCOVID-19が流行し、患者を含む研究関係者の感染リスクを軽減するため、COPD急性増悪時の患者の評価を実施しないこととした。そのため、主目的として「日本人の安定期COPDの肺のマイクロバイオームを評価し、米国および欧州で実施された試験結果と比較すること」を追加した。これにより、本研究結果が日本と欧米の安定期COPD患者の肺のマイクロバイオームの違いに関する重要な知見となり、日本人患者のCOPD急性増悪時のマイクロバイオームについて信頼性のある推論を可能にするものである。

試験デザイン

多施設共同前向き介入疫学コホート研究

本研究では治療介入は行わず、患者は主治医により処方された薬剤の使用を継続し、健康管理のため、研究期間を通して主治医による定期的な診療を受ける。
スクリーニングVisitおよび/またはVisit 1では、選択基準と除外基準に基づき患者の適格性を、研究責任(分担)者が確認する。適格性は喀痰検査や血液検査、肺機能検査などにより評価される。また、スクリーニングVisitでは、EXACT※2やCAT※3記録のための電子日記が患者に提供される。
患者は、スクリーニングVisit、Visit 1(0ヵ月目)、Visit 2(12ヵ月目)に来院する。電子日記の記録状況が不良の患者には、研究責任(分担)者が電話で連絡をする。

  • ※2EXACT:EXAcerbations of Chronic Pulmonary Disease Tool、慢性閉塞性肺疾患増悪ツール
  • ※3CAT:COPD Assessment Test 、COPDアセスメントテスト
多施設共同前向き介入疫学コホート研究の図
  • 注1患者は本研究期間中のCOPD急性増悪の検出に用いる質問項目および20項目(EXACT含む)からなる電子日記に毎日回答する。
  • 注2CATには、次回来院日までの期間中、2ヵ月おきに回答する。
  • ※4mod. ATS-DLD-078:modified American Thoracic Society and National Heart and Lung Institute-Division of Lung Disease Respiratory、米国胸部疾患協会および米国立心臓・肺・血液研究所の肺疾患部門の呼吸器症状質問票の修正版
  • ※5mMRC:modified Medical Research Council Dyspnea Scale、修正MRC質問票

対象者

COPD、ACO※6、慢性気管支炎の診断記録があり、GOLDにより定義されるCOPDを示唆する気流制限※7があり、かつ直近(スクリーニング実施前24ヵ月以内)に下気道感染が認められた40歳以上の患者
(目標症例数約70例)

  • ※6ACO:Asthma and COPD Overlap、喘息とCOPDのオーバーラップ
  • ※7スパイロメトリーによる判定で気管支拡張薬投与後のFEV1の正常予測値に対する割合が30%以上80%以下、かつFEV1/FVCが0.7未満と定義

評価項目

  • 主要評価項目
    • 評価可能な中等度または重度の初回COPD急性増悪に占める感染を病因とするCOPD急性増悪、感染を病因としないCOPD急性増悪の割合a
    • COPD安定期の喀痰における、細菌の16SrRNAおよびメタゲノムシーケンスにより解析したマイクロバイオームの組成
  • 副次評価項目
    • 全ての中等度または重度のCOPD急性増悪の1年間における患者1人あたりの発現回数、発現率
    • COPD安定期および評価可能な中等度または重度の初回COPD急性増悪時の喀痰における、細菌の16SrRNAおよびメタゲノムシーケンスにより解析したマイクロバイオームの組成b
    • COPD安定期および評価可能な中等度または重度の初回COPD急性増悪時の喀痰において、定量PCR法または細菌培養で潜在的ウイルス性病原体陽性、潜在的細菌性病原体陽性の患者割合b
    • EXACTイベントの1年間における患者1人あたりの発現回数および発現率
    • COPD急性増悪およびEXACTイベントの回数
    • 医療資源の利用に基づくCOPD急性増悪の重症度
    • EXACT総スコアに基づくEXACTイベントの重症度
    • COPD急性増悪の持続期間
    • EXACTイベントの持続期間
    • CATスコアの平均変化量b
    • CATスコアの1年間の平均変化量
    • EXACTスコア、E-RS※8:COPD総スコア、E-RS:COPD領域別スコアの平均変化量b
    • E-RS:COPD総スコア、E-RS:COPD領域別スコアの1年間の平均変化量
    • FEV1の平均変化量b
    • COPD急性増悪に関連するまたは関連しない患者1人あたりの医療資源の平均利用率および年間利用率
  • 探索的評価項目
    • 胸部画像検査に基づき、評価可能な中等度または重度の初回COPD急性増悪時に肺炎を有すると放射線学的に確認された患者割合a
    • COPD安定期および評価可能な中等度または重度の初回COPD急性増悪時の喀痰のマイコバイオームの組成b
  • a:研究計画書改訂第5版以降に組入れられた患者では実施しない。
  • b:研究計画書改訂第5版以降に組入れられた患者では、COPD急性増悪の評価は実施しない。
  • ※8E-RS:Evaluating Respiratory Symptoms、呼吸器症状の評価

最新情報

2023年4月に開催された第63回日本呼吸器学会学術講演会において、本研究の最終結果が発表されました。

  • Bafadhel M, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2011; 184(6): 662-671. PMID: 21680942
  • Mayhew D, et al. Thorax. 2018; 73(5): 422-430. PMID: 29386298
  • Wang Z, et al. Eur Respir J. 2016; 47(4): 1082-1092. PMID: 26917613
  • 社内資料:AERIS-J Study, Study Protocol
  • 医薬品情報データベース[JapicCTI-194704]
  • ClinicalTrials.gov[NCT03957577]
  • 本研究はGlaxoSmithKlineにより行われている。

OCEAN Study

OCEAN Study(Okinawa COPD casE finding AssessmeNt Study)

試験結果はこちら

背景

日本では多くのCOPD※1患者が未診断、未治療の状態にあり、COPD患者やCOPD発症リスクのある人を効率よく特定する方法の開発が求められている。

  • ※1COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease、慢性閉塞性肺疾患

目的

主要目的

  • COPDまたはCOPDのリスクを有する人のスクリーニングにおけるCAPTURE※2およびCOPD-Q※3の有用性を評価する(標準的な肺活量を有する人との比較)
  • 日本人の生産年齢人口におけるPRISm※4を評価する
  • ※2CAPTURE:COPD Assessment in Primary Care to Identify Undiagnosed Respiratory Disease and Exacerbation Risk、プライマリケアにおける未診断の呼吸器疾患と増悪リスクを特定するための質問票
  • ※3COPD-Q:COPD screening questionnaire、COPDスクリーニングのための質問票
  • ※4PRISm:Preserved Ratio Impaired Spirometry、1秒率が保たれている肺機能障害、FEV1/FVC 0.7以上かつ% predicted FEV180%未満と定義

研究デザイン

単施設非介入横断観察研究

  • 本研究への参加者は、事前のサンプリングは行わず、試験期間中随時募集した。
  • 健康診断受診者に、健診当日の施設内で質問票(CAPTURE、COPD-Q、CAAT※5、PROMIS※6〔短縮版4問〕、Study-specific questionnaire※7、A health exam questionnaire※8)への回答を依頼した。
  • 本研究では気管支拡張薬投与前のスパイロメトリーが測定された。
  • 気流制限※9の重症度は、GOLD※10ガイダンス文書の4つのグレード分類(グレード1〔軽症〕:% predicted FEV1≧80%、グレード2〔中等症〕:% predicted FEV1 50-79%、グレード3〔重症〕:% predicted FEV1 30-49%、グレード4〔最重症〕:% predicted FEV1 <30%)で評価した。
  • ※5CAAT:Chronic Airways Assessment Test、慢性気道疾患アセスメントテスト
  • ※6 PROMIS:Patient-Reported Outcomes Measurement Information System、患者報告アウトカム評価システム
  • ※7COPDを含む呼吸器疾患や喘息の既往、慢性気管支炎の症状などを含む追加情報を収集するための質問票
  • ※8服薬状況や病歴、身体活動などを含む情報を収集するための健康診断票
  • ※9FEV1/FVC 0.7未満と定義。ただし、本研究では気管支拡張薬投与前のスパイロメトリーを測定したため、”気流制限”が認められた参加者には、喘息やその他の呼吸器疾患を有する患者も含まれうる。
  • ※10 GOLD:Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease

対象者

一般社団法人那覇市医師会生活習慣病検診センターで定期健診を受けた40歳以上の男女2,518例(症例登録期間:2018年9月~2019年7月)

評価項目

  • 主要評価項目
    • COPDまたはCOPDのリスクを有する人を特定するCAPTUREおよびCOPD-Qの有用性を評価すること
  • 副次評価項目
    • CAPTURE、COPD-Q 、CAATの回答分布
    • 気流制限の有無、PRISmの有無別の受診者の特性
    • 喫煙歴や現在の喫煙の有無別の受診者の特性
  • 探索的評価項目
    • PROMISの評価に基づく身体機能障害を有する人の割合

結果

第1報1)

本研究結果より、沖縄の40歳以上の成人において、CAPTUREおよびCOPD-Qは、COPD未診断で症状を有する人、あるいはCOPDを発症する可能性のある人を特定するために有用であることが示唆された。

〈患者背景〉

解析対象2,518例のうち、52例(2.1%)に気流制限が認められ、そのうち46例は重症度がGOLDグレード2または3であった。また、解析対象のうち420例(16.7%)がPRISmと分類された(図1)。PRISmのうち75例はCAATスコアが10以上であった。

図1肺機能障害を有する割合

肺機能障害を有する割合の図
  • Tamaki K, et al. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2021; 16: 1771-1782.より作図
〈CAPTUREおよびCOPD-Qの有用性〉(主要評価項目)

主要評価項目であるCAPTUREおよびCOPD-Qの有用性の検討において、気流制限、PRISm、PRISmかつCAATスコア10以上を予測するROC-AUCは、CAPTUREでそれぞれ0.59、0.55、0.69、COPD-Qでそれぞれ0.67、0.58、0.68であった。CAPTUREおよびCOPD-QはPRISmかつCAATスコア10以上の呼吸器症状を伴う肺機能障害を有する人のスクリーニングに、COPD-Qスコアは気流制限のある人のスクリーニングにおいて有用である可能性が示された。

第2報2)

気流制限のある集団(52例)のうち、63.5%が60歳未満であった。また、46.2%が現在喫煙者であり、喫煙歴および現在の喫煙状況でみると、現在喫煙者が最も高い割合を占めた。40歳以上の現在または前喫煙者に対する質問票を用いたスクリーニングは、閉塞性気道疾患を診断するスパイロメトリーの必要性を確認するために有用であることが、本研究結果により示唆された。

〈気流制限、PRISmの有無別の受診者の特性および肺機能〉(副次評価項目)
  • 気流制限、PRISmの有無別の受診者の特性(副次評価項目)

    喫煙歴および現在の喫煙状況:気流制限またはPRISmの有無別の喫煙状況は、気流制限のある集団(52例)では非喫煙者が28.9%、前喫煙者が25.0%、現在喫煙者が46.2%、PRISmのある集団(420例)ではそれぞれ42.4%、26.0%、31.7%、気流制限/PRISmのない集団(2,046例)ではそれぞれ46.1%、31.0%、22.8%であった。 40~49歳の患者1,194例における喫煙状況の分布は、非喫煙者が44.5%、前喫煙者が26.5%、現在喫煙者が28.9%であった。また、40~49歳の患者のうちPRISmを有する者189例の喫煙状況の分布は、非喫煙者が48.7%、前喫煙者が16.9%、現在喫煙者が34.4%であった(図2)。

図240~49歳のPRISmを有する患者における喫煙状況の分布

40~49歳のPRISmを有する患者における喫煙状況の分布の図
  • Kaise T, et al. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2021; 16: 2665-2675.より作図
  • 慢性粘液分泌過多:慢性粘液分泌過多※11を有する割合は、気流制限のある集団で3.9%、PRISmのある集団で2.4%、気流制限/PRISmのない集団で1.6%であった。
    喘息:喘息は最も頻度の高い既往歴で、気流制限のある集団で44.2%、PRISmのある集団で17.4%、気流制限/PRISmのない集団で10.5%であった。
    BMI:BMI(平均値)は、気流制限のある集団で23.9kg/m2、PRISmのある集団で25.5kg/m2、気流制限/PRISmのない集団で24.0kg/m2であった。
    代謝性疾患:併存疾患を有する割合は、高血圧が気流制限のある集団で19.2%、PRISmのある集団で21.0%、気流制限/PRISmのない集団で17.1%、糖尿病がそれぞれ5.8%、7.1%、3.9%、脂質異常症がそれぞれ7.7%、11.9%、8.4%であった。

    • ※112年連続で3ヵ月以上続く痰を伴う咳をしていると定義
  • 気流制限、PRISmの有無別の肺機能(副次評価項目)

    平均FEV1/FVCは、気流制限のある集団で0.65、PRISmのある集団で0.81、気流制限/PRISmのない集団で0.84であった。Predicted FEV1%は、気流制限のある集団で66.9%、PRISmのある集団で73.1%、気流制限/PRISmのない集団で94.8%であった。

〈喫煙歴や現在の喫煙の有無別の受診者の特性〉(副次評価項目)

気流制限およびPRISmを有する割合は、現在喫煙者で3.9%および21.3%、前喫煙者で1.7%および14.4%、非喫煙者で1.3%および15.7%であり、いずれも現在喫煙者で高かった。
喫煙状況別のCAATスコア平均値は、非喫煙者で4.3、前喫煙者で4.5、現在喫煙者で5.7であり、COPD-Qスコア平均値がそれぞれ1.2、2.6、2.7、PROMISスコア平均値がそれぞれ19.8、19.9、19.8であった。また、CAPTUREスコア平均値はいずれの喫煙状況においても0.8であった。

  • 社内資料:OCEAN Study, Study Report
  • Tamaki K, et al. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2021; 16: 1771-1782. PMID: 34168439
  • Kaise T, et al. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2021; 16: 2665-2675. PMID: 34588775
  • 本研究はGlaxoSmithKlineにより行われた。

Cognitive Study

Cognitive Study(Japan COPD Exacerbation Cognitive Study)

背景

COPD※1の増悪は予後を悪化させ、患者のQOL※2に悪影響を与える。COPDの早期診断は増悪予防に有効であると考えられる一方、COPDの治療を受けていても医師に報告されない増悪があることを示唆する研究もある1)。そこで、COPD増悪を認識するための日本の患者と医師間のコミュニケーションツールの開発が求められている。

  • ※1COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease、慢性閉塞性肺疾患
  • ※2QOL:Quality of Life、生活の質

目的

日本の医師および患者がCOPD増悪を認識し、報告するのに役立つツール(CERT※3)を作成する

  • ※3CERT:COPD Exacerbation Recognition Tool

研究デザイン

Part 1~3から成る多施設共同観察研究

  • Part 1:フォーカスグループによる項目(単語/フレーズ)の抽出
  • Part 2:個別インタビューによる認知デブリーフィング※4
  • Part 3:候補項目の絞り込みとCERTの最終化
  • ※4認知デブリーフィング:理解してもらえたかを検証すること

対象者

GOLD 2016の診断基準に従ってスパイロメトリーによりCOPDまたはACO※5と診断された喫煙歴10 pack-years以上、40歳以上で、12ヵ月以内のCOPD増悪治療の経験のある患者

  • ※5ACO:Asthma and COPD Overlap、喘息とCOPDのオーバーラップ

評価項目

COPD増悪認識、報告のためのコミュニケーションツールに用いる項目(単語/フレーズ)

結果

探索的因子分析、感度及び特異度分析の結果から、専門家で構成されたExpert Panelによるレビューにより、以下の項目が決定された。

CERT-J (COPD Exacerbation Recognition Tool for Japan)

A: Japanese version

下記の症状がいつもよりも多くなった場合、あなたの病気(COPD)の状態が悪化している可能性があります。3つ以上該当した場合は、受診してください。

  • 長い距離を歩くときに、息切れがあった
  • 階段を上るときに、息苦しさがあった
  • 息苦しさが原因で、日常生活や社会生活**が制限された
  • 咳が増えた
  • 痰の頻度や量が増えた
  • 痰の色が変化した
  • * :入浴、トイレ、着替えなど
  • ** :友人との外出や買い物、仕事など

B: English version

If three or more of the following symptoms get worse, your disease (COPD) may be worsening, so please contact your doctor.

  • More breathless when walking a long distance
  • Greater difficulty in breathing when walking up stairs
  • Daily activity*or social activity**become more limited due to your breathing
  • Your cough increases
  • The frequency or amount of phlegm increases
  • The color of your phlegm changes
  • *: for example, taking a bath, toileting, and dressing
  • **: for example. going out with friends. shopping. and working
  • <書誌事項>
    Jones P, et al.: COPD. 2023; 20(1): 216-223.
  • Betsuyaku T, et al. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2018; 13: 2409-2423. PMID: 30147307
  • 社内資料:Cognitive Study, Study Protocol
  • 医薬品情報データベース[JapicCTI-194593]
  • 本研究はGlaxoSmithKlineにより行われている。

Telemedicine Study

Telemedicine Study:日本人COPD患者の治療における遠隔医療アプローチの評価

背景

COPD※1疾患管理のため、近年、症状のモニタリングを含む様々な評価項目を用いて遠隔医療の実用性が検証されている。YaDoc(ヤードック)(インテグリティ・ヘルスケア社)は、日本における遠隔医療プラットフォームの1つであり、日本のCOPD患者の遠隔医療利用を促進することを目的としてCAT※2をスマートフォン用アプリに搭載している。

  • ※1COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease、慢性閉塞性肺疾患
  • ※2CAT:COPD Assessment Test、COPDアセスメントテスト

目的

  • 日本の実臨床下における遠隔医療プラットフォームの利用遵守率と受容満足度について知見を得る
  • 定期的な症状やデータの記録を収集し、臨床医および患者の経験を観察し記述することで将来の遠隔医療による疾患管理の実現可能性を検証する
  • 臨床診療における遠隔医療の潜在的な使用方法や、遠隔医療アプローチを用いて疾患アウトカムを評価することを目的とした将来の研究のデザインを模索する

研究デザイン

多施設共同、前向き介入探索的研究

研究参加者に対して治療への介入は行わず、研究期間中は健康管理のために主治医により処方された薬剤の使用および主治医による定期的な診療を継続する。
研究参加者は研究期間中、遠隔医療プラットフォームYaDocを用いて研究計画書で推奨される頻度で「毎日の質問」「CAT・mMRC※3」へ回答する。また、研究組み入れ時、中間、終了時の計3回アンケートへの回答を行う。研究組み入れ時には研究機関への来院が必要だが、以降は研究計画書で規定された来院はない。研究組み入れ時の来院から研究終了までの期間は52~56週とした。

  • ※3mMRC:modified Medical Research Council Dyspnea Scale、修正MRC質問票

対象者

COPDまたはACO※4に対する維持療法として単剤または2剤併用吸入による治療※5を行っている40歳以上の日本人で、所有するスマートフォンやタブレット端末で遠隔医療システムを使用できる患者100例

  • ※4ACO:Asthma and COPD Overlap、喘息とCOPDのオーバーラップ
  • ※5研究組み入れ時に、維持療法として長時間作用性抗コリン薬(LAMA)/長時間作用性β2刺激薬(LABA)吸入または吸入ステロイド(ICS)による治療を行っている患者。研究組み入れ時には吸入3剤療法(ICS/LAMA/LABA)や生物学的製剤による治療例は除外した。その他の短時間作用性気管支拡張薬、全身性ステロイド、抗菌薬による治療は認められている。

評価項目

  • 主要評価項目:COPDの疾患管理のための遠隔医療プラットフォームの使用可能性
    YaDoc遠隔医療プラットフォーム利用遵守率および研究を完了した研究参加者の割合
  • 副次評価項目:COPDの疾患管理のための遠隔医療プラットフォームの使用の受容満足度
  • 中間および終了時における研究参加者の遠隔医療プラットフォームに関する質問に対する肯定的な回答者の割合
  • 中間および終了時における研究責任者ならびに研究協力者の遠隔医療プラットフォームに関する質問に対する肯定的な回答者の割合

結果

本研究における患者背景に関する結果は、第61回日本呼吸器学会学術講演会(2021年4月開催)において発表された。
また、第62回日本呼吸器学会学術講演会(2022年4月開催)において、主要な解析の結果が発表された。

  • 社内資料:Japan COPD Telemonitoring Study, Study Protocol
  • 医薬品情報データベース[JapicCTI-194916]
  • 本研究はGlaxoSmithKlineにより行われている。
NP-JP-FVU-WCNT-1900082023年12月