「Treatable traits」の理解を深める上で重要な用語・キーワードについて概説します。各キーワードは、「Treatable traits」の概念を理解する上での使用法について解説しています。一般化された用語解説ではないことにご留意ください。
呼吸機能検査
呼吸するための機能を調べるための検査。スパイロメトリーと呼ばれる機械で呼気(こき:吐く息)の勢いや肺活量を調べるものを始め、検査にはさまざまな方法と種類がある。
増悪:Exacerbations
通常の変動を超える、症状の一時的な悪化。安定していた状態(安定期)の治療から、治療法の変更が必要な症状の一時的な悪化。症状の出現は急激のみならず、緩徐な場合もある。
- ※FEV1%:1秒率とも呼ばれる呼吸機能を評価する指標の1つ
- Hansel TT, et al. Lancet. 2009; 374(9691): 744-755.より改変
症状の悪化:Symptom worsening
通常の変動内での症状[労作時の呼吸困難(息切れ)、慢性の咳・痰など]の増強や悪化。日内変動や気温などの環境の変化に伴う変動も含まれる。安定期の治療を変更することなく管理できる程度の症状の変化。
症状の進展:Disease progression
症状の経時的な深刻化。COPDの深刻化スパイラル。ある程度の期間を経て、徐々に進行する不可逆的な呼吸機能の低下。呼吸活動制限が増加することも多い。
Treatable traits
最適な治療を提供するために配慮すべき患者の形質・特徴。治療への反応性から見た患者の特徴。患者の形質を把握することで、予後を改善することが可能である。
フェノタイプ:Phenotype
臨床症状・臨床像の違いから分類される病型の1つ。最適な治療(薬)を選択する際に参考となる形質、治療法を検討する際に注目すべき臨床像。発症年齢や特異的アレルギーの有無、重症度など、臨床症状、生理的・生化学的・形態学的に測定できる要素によって分類した病型。
エンドタイプ:Endotype
分子病態に基づく病型。疾患の原因や予後を規定する因子。発症や増悪の機序、治療に対する反応性などを分類した病型。疾患の背景にある機能的または病態生物学的機序を規定する要素。