COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)、喘息、ACO(Asthma and COPD Overlap:喘息とCOPDのオーバーラップ)は、呼吸器(特に気管支)の慢性疾患として、症状や病態に多くの共通点があります1)
その一方で、これらの疾患の臨床症状は多様で、複雑性と異質性を併せ持つ不均一な疾患でもあります2,3)
こうした特徴は、現在利用可能な治療法に対する患者個々の反応性の違いにも反映されるため、患者の評価と治療をできるだけ個別化する必要性が示唆されています1-4)
特にCOPDは、その評価と管理が気流制限の重症度に基づき行われてきましたが、病態の複雑性と異質性を正確に捉えることの重要性が認識されるようになり、近年の世界的イニシアチブあるいは診療ガイドラインでは多くの変数を用いた新しい総合評価法が提案されています2)
「Treatable traits」を規定する概念は、臨床的形質・特徴だけにとどまらず、分子生物学のレベルにまで急速に研究が進んでいます4)
そして、「Treatable traits」を概念だけにとどめず、実践的に新しい治療アプローチとして応用していく必要があります。そのためには、COPD、喘息、ACOにおいて「Treatable traits」と考えられる患者の形質・特徴(Traits)を特定し、それらに対する治療アプローチについて国際的な合意を得ていくことが求められています4)
- Hizawa N, Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2015; 10: 1093-1102. PMID: 26089659
- Agusti A, et al. Thorax. 2013; 68(7): 687-690. PMID: 23117977
- Agusti A, et al. Respirology. 2016; 21(1): 24-33. PMID: 26172306
- McDonald VM, et al. Eur Respir J. 2019; 53(5). PMID: 30846468
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